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SupercarのラストライブDVDをやっと全部観た。ラストライブは幸運にも観ることができたけど、その後、購入したラストライブのDVDは今まで最後まで観ることができなかった。

解散から3年
スリーアウトチェンジから10年

僕のバンド生活はスーパーカーから始まったと言ってもいい。浪人の末、大学生になった1998年4月1日にスリーアウトチェンジが発売された。

高校時代にギターを買って、ひとり弾いていたけど大学に入ったらバンドをやろうと決心していて、サークルの花見で当時のメンバーに出会った。

キッカケはスーパーカーが好きだったこと。正確には一人はスーパーカーを知らなかったけど、The Beatlesが好きということで、ハードロック、メタル好きや、ビジュアル系が好きな奴らよりはバンドがやっていけそうな気がしたから、バンドに誘った。バンドでは当初スーパーカーをメインにThe WhoThe BeatlesThe Stone Rosesの曲をやっていた。メンバー全員あまり技術的な練習しないし、弾けるレベルでそれっぽく弾いていたから、全然うまくならなかった。おかげで、サークルの先輩たちからは、もっと練習しろなんて言われていた。でも、野心はあった。当時、スーパーカーなんて聴いてる奴は少なくマイノリティだったせいで、僕らは技術はないけどセンスはあると思い込んでいた。若気の至りというやつだ。

スーパーカーの歌詞は当時の僕にはぴったりだった。歌詞なんて今までほとんど気にしない僕が、初めてといって言いぐらい日本のバンドで良い歌詞だと思った。当時のモラトリアムでAOHARU YOUTHな大学生が共感を得てしまうような歌詞。

音も今まで聴いた日本のバンドではなかった。Luckyをラジオで初めて聴いたときは、歪んだギターに男女の歌でMy Bloody Valentineかと思った(少ししたら、全然違うなと思ったけど)。当時、あんなミックスでメジャーで音源を出しているバンドなんて他にいなかったと思う。『Sunday People』『FAIRWAY』『STROBOLIGHTS』なんかのシングルがリリースされたときには、当時、常に日本のメジャーシーンで新しい音を提示していたと思う。それは、今、思い出してみても思うし、今、それらの音を聴いても彼らの出す音はスーパーカーでしかない。あの頃、バンドでオリジナルをやり始めた僕は、常にスーパーカーの存在は意識していて、彼らの提示する音に強く影響を受けていた。

彼らのライブは就職したときのANSWER以外のツアーは全部観た。地元に来たときは、ほとんど全て観にいった。FUJI ROCKのホワイトでもスーパーカーはいつでも観れるし、せっかくだから海外のバンドを観ようと思っていたのに観た。アンコールなしで、途中からはコウダイのMCもなくなった、しっかりと構成されたライブはとてもカッコよかった。

今、スーパーカーチルドレンみたいなバンドがたくさん出てきているけど、スーパーカーと同じ存在になれるバンドはいないと思う。90年代〜00年代という時代を彼らは味方にした。あの時代の音を出していた。当時のチャートを賑わしていた音楽なんて、今じゃ聴かれても懐メロとしてだ。でも、彼らの音楽は当時の音として今も古びず新鮮に鳴り響く。そんなバンドは数少ない。

そんな訳でいろいろな思いが込み上げてしまうから、今までDVDを最後まで観ることができなかった。いろいろな音楽を聴いてきたけど、僕のAOHARU YOUTHな時代のBGMはやはりスーパーカーだったんだと思うから。

だけど、時間とともに客観的になれたことと、最近の学生時代の友人達のいろいろを聞くにつれ、やっとDVDを最後まで観ようと決心した。あれから解散の理由を知ったせいもあって、いろいろと思うところもあり、個人的な感情から何度も込み上げる思いがあった。選曲もやはりそんなラストライブを思わせるような選曲だ。だけど、それを抜きにしても音、演奏、映像の全てが素晴らしいと改めて思う。

この文章はほとんど個人的な思いになってしまった。今さらだけど、このDVDは僕の学生時代を振り返るための大事なものなんだと気づいた。


たまには後ろ振り返りながら


そんなときがあってもいいと思う。だから、僕はこれからもたまには振り返るだろう。

LAST LIVE 完全版 [DVD]

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